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2007年09月14日

審判としての立場

前回の記事について、思わぬ大反響で驚いています。貴重なご意見をありがとうございました。僕の説明不足で少し誤解があったと思うので、少し補足をさせてもらいます。

まず、アメリカにしろ日本にしろ、我々、審判を職業としている誰一人として、審判に与えられた権力を傘に、いい加減にジャッジしたり、偏見を持ってジャッジしているものはいません。常に、正確に判定できるように、日々いろいろな努力をしています。そのような努力をしていてもミスはあるものです。現代野球では、科学の力で、いろいろな角度から映像として我々の判定について、丸裸にされています。ですので、いっそう正確な判定を求めて努力をするしかないのが現状です。ミスをした際に、我々審判は、自分でもミスしたことはわかっています。どれだけ、それが辛いことか想像できますか。謝って、訂正したほうがどんなに楽だと思います。でも、それが出来ないのが審判なのです。悔しくて、情けなくて、眠れないものです。又、権力やルールに甘えて、楽をしようとなんか思っている審判も一人もいないはずです。そのことは皆さんにも理解して欲しいと思います。

イチロー選手は、パリーグにいた時分から良く見ています。彼の野球に対する取り組み方や審判に対する態度は、どれも尊敬に値するものです。ですから、今回の記事も別にイチロー選手を批判するつもりで書いたわけではありません。ただ、皆さんに少し理解して欲しいことがあったので、書いたつもりです。

MLBにしろ、NPBにしろ野球というスポーツには変わりありません。そして、その野球というスポーツは、ルールに基づいて行われます。その野球規則によって、審判が下した判定が全てであると規定されています。ですから、野球というスポーツにおいて、審判のミスジャッジというのは、ルールの適用ミス以外は、存在しないのです。仮に、真実と違う判定だったとしても、審判が見たままが全てであるのです。(勿論、審判が精一杯努力して公平に判定することが前提です。)

イチロー選手は、多大な影響力のある超一流選手であることは間違いありません。特に子供達の好きなスポーツ選手ナンバーワンの地位を何年も維持しています。特に子供達への影響力がある選手なのです。イチロー選手の言動や行動は、とても子供達に影響があります。そんなイチロー選手が、審判の判定に不満で、それを行為や言葉にあらわしていたら、どのような影響があるでしょう。ルールに反する行為をしていることになり、子供達もそのようなことが正しいことだと思ってしまうのです。日本の野球では、いまだに起こることですが、審判の判定に不満で、文句を言うだけでなく、手まで出すことがあります。それを見た子供達も、審判が判定を間違えたなら、審判に手を出しても良いと思ってしまうのです。ですから、野球というスポーツをやる以上、このような行為をさせてはならないのです。そのために審判に権力が与えられているのです。

そして、子供達が野球というスポーツをやる目的をもう一度考えて欲しいのです。野球をやることにより、人間として必要な大切なことが学ぶことが出来る、それがスポーツをやる目的なのです。審判の判定に不満だからといって、審判を攻撃するようなことが、正当化される見本になるような行為や言動は絶対にして欲しくありません。又、それをさせないために、審判には、権威や権力を持つことが許されているのです。

野球というスポーツをする以上、判定に対して不満であっても我慢するしかないのです。だから、審判もより正確な判定が下せるように、日々努力を重ねる必要があるのです。そのことは、我々審判はよく理解しています。

以上のようなことを理解して欲しい為に記事を書きました。ご理解いただけたら幸いです。

平林 岳


追伸:2年間お世話になったSeesaa ブログから、オフの間にお世話になっていて、マネジメントをお願いしている(株)ライツが運営するアスリート・ポータルサイト”アスポタ”へ引越しすることになりました。次回記事からは以下のアドレスへアクセスをお願いします。

http://old-rookie.aspota.jp/

これからも宜しくお願いいたします。
posted by 平林岳 at 02:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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2007年09月09日

イチロー選手の審判との駆け引き

9月3日(月)の試合にて、今シーズン最終戦を無事に終えることが出来ました。いろいろなことがあったシーズンですが、心の底から、”よかった”と思えるシーズンでした。今後、このブログでも振り返っていき、来シーズンに生かせるようにしていきたいと思います。シーズン中にたくさんの叱咤激励コメントをいただきました。本当に助かりました。ありがとうございました。

さて、先日のMLBの試合で、イチロー選手に対しての判定で、彼が審判に対して挑発的なコメントをしていました。確かに、判定は微妙で、イチロー選手に対して不利な判定が続きました。本人の気持ちは、痛いほどよくわかります。彼のコメントが、アメリカメディアに出たのかどうかはわかりませんが、審判サイドに伝わっていたとしたら、間違いなく報復されます。勿論、だれもわざとやったなんていいませんが、わからないように、いくらでも際どい判定を不利に判定することはできます。それだけ、審判が機構や組織、ルールに守られているのです。自分の気持ちがそれで済むのであれば、それも一つの方法かもしれませんが、”百害あって一利無し”なのです。

2塁での盗塁プレーですが、あの手の判定は、本当に審判泣かせの判定であるということを知って欲しいと思います。送球やタッグ行為は、間違いなくイチロー選手がスライディングして、ベースに着く前に行われているのです。ただ、実際はタッグをミスしたものと見受けられます。このようなプレーの判定は、どちらに判定しても抗議を受けます。特に修行の場であるマイナーリーグでは、セーフにしたほうが抗議を受ける可能性が高いというのが僕の経験上で言えることです。ただし、MLBでは、やはりこれだけいろいろ角度から映像で見られている現在は、出来る限り正確な判定を求められています。ですから、あの場面でも、ジェリー・デービス審判は、正確に判定しようとしていたはずです。ただ、あの時の判定したポジションが悪く、あのときにタッグしていたかどうかを判断するのに一番悪い角度にいたようで、タッグがイチロー選手に触れたかどうかが、定かでなかったと推測できます。

マイナーリーグでは、このようなケースでは、しばしば”アウト”に宣告したほうが、皆が納得するということがよくあります。僕自身も、それで今シーズンかなり悩みました。ただ、結論として、”見たままで判定しよう!”ということでやっていました。

ですから、あの場面でも、イチロー選手にしてみれば、明らかにタッグされていなくて、簡単なセーフに感じたのだと思いますが、判定を任されている審判にとってあのような”死角”に入ってしまうことが1年に1度ぐらいあるものです。もちろん死角に入らないように努力はしています。もう2度とジェリー・デービス審判が、イチロー選手に対してこのような死角に入って宣告することは無いと信じています。そのぐらい素晴らしい審判なのです。駆け引きとして、あの場面では、我慢が必要だったかもしれません。(気持ちはよくわかりますが・・。)

僕は、本当のところはわかりませんが、その抗議態度が、その後の1塁での判定に繋がったのだと想像できます。

これからのヒット1本が、彼にとってとても大きな1本になることと思います。それなので、審判を挑発するような発言は、我慢して欲しいところです。
posted by 平林岳 at 07:13 | Comment(23) | TrackBack(1) | 日記
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2007年09月03日

マジック1!

今日の試合を終えて、いよいよシーズン残り1試合となりました。139試合を終えたことになります。(正確には、MWLで4試合ほど雨や雪、寒さで流しているので135試合だと思います。)本当に、よくやったと思います。何よりも、けがや病気が無く、1試合も試合を休まなかったことが一番嬉しいです。又、疲労は勿論ありますが、試合に影響するような蓄積疲労は、無かったと思います。これも、アミノバイタル・プロとブルーベリー・アイ(スポーツタイプ)を継続して飲んでいたことが大きかったと思います。宣伝するわけではありませんが、僕が身を持って体験してみて、その成果を自信を持って皆さんにもお薦めしたいと思います。

球審予定は、今日の試合で終了しました。68試合ほど球審をやったと思いますが、今日の1試合で、球審の難しさを痛感させられました。今シーズン中で、一番悪い出来だったと思います。

シーズン中ずっと調子がよく、あまり悩んだりしたことが無かったシーズンでした。前回球審した際に見逃し三振するべき投球を、”ボール”とコールしてしまったことが尾を引いていたのです。この判定で、そのときに投げていた投手は崩れてしまいました。

よくチームや解説者のかたがたが、”あの1球の判定で負けた。”とか言いますよね。審判自身も1球の判定ミスで崩れたりするものです。勿論、1球のミスで崩れるようでは、まだまだということなのですが・・。でも、実際あるものです。それだけ、審判は、繊細にプレーを見て、判定を下しているのです。審判の仕事は、メンタル面がほとんどだと思います。どう自分の精神面をコントロールするかということに尽きると痛感しました。

だから我々審判には、いろいろな経験が必要なのです。調子が悪い時でもそれなりの仕事をしなくてはならない立場にいるのが審判です。

オフの課題が見つかりました。課題を見つけただけでも良い経験になったシーズン最後の球審でした。(このようにプラス思考に考えることも大事なことなんです。)

カリフォルニア州ビクタビルにて
Victorville,CA
平林 岳

●カウントダウン(残り試合)
残り 1試合
posted by 平林岳 at 18:18 | Comment(5) | TrackBack(0) | 日記
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Replacement Umpire(代替審判員)

更新が滞ってしまいました。すみませんです。

アレックスが現場を離れて、モデストに住んでいる元マイナーリーグ審判のサムとモデストでの試合を一緒に仕事をしました。彼は、1982年から4シーズンほどマイナーリーグ審判をしていたそうです。このカリフォルニア・リーグでも審判をしていた大先輩だったのです。彼が、”僕は球審のほうが好きだから、球審をしてもいい?”と聞いてきたので、僕自身が球審する予定でいましたが、彼のやる気と経験を信じて球審をしてもらいました。

サムは、現在大学野球を中心にアマチュア野球で審判をしていて、年間に100試合以上をこなすそうです。ただ、やはりアマとプロのストライクゾーンは多少違いがあるようで、僕が見て、かなり彼のストライクゾーンのほうが、我々のそれよりも広いと感じました。ただし、両方のチームに対して広いので、そんなに悪い出来だとは思いませんでした。でも、両チームの打者からは、不満続出のようで、結局、5回にある打者を見逃しの三振にコールした際にサムに暴言を吐き、退場になりました。

退場は、良い退場であったと思います。問題なかったです。ただ、問題は、退場報告書をどのように書くかということでした。前日に他の場所でも、地元アマチュア代替審判が退場させたということを聞いていたので、一緒にやっていたトリップ審判に電話して聞いてみました。トリップは、”状況を書く欄と、パートナーが見たままを書く欄だけ書いて送ればいい。”と言ったのでその通りに書いてリーグにメールで送りました。本人には、リーグが電話して事情を聞くそうです。

翌日は、飛行機で移動して今シーズン最後のシリーズを行う、ハイデザートへ来ました。ここでも地元審判と試合を行います。さすがに僕が球審を務めました。次の試合からは、アレックスが帰ってくることになりました。やはり、気分が全く違います。アレックスとの数試合をベストな試合ができるように頑張りたいと思います。

カリフォルニア州ビクタビルにて
Victorville,CA
平林 岳

●カウントダウン(残り試合)
残り 2試合
posted by 平林岳 at 05:38 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記

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